皆さんは日本三大都市といえば、すぐに答えることができますか?
Wikipediaによると日本三大都市は東京23区(東京特別区)、大阪府大阪市、愛知県名古屋市を指す、とあります。
メディアでも東名阪と呼ばれ、首都圏・近畿圏・中京圏といった大規模な経済圏を形成しています。
多くの方は日本三大都市と言われれば上記の三都市を挙げるかと思いますが、そこに割って入ろうとしている都市があります。
それが、神奈川県の県庁所在地・横浜市。
横浜市といえば、日本の基礎自治体で最も人口が多く、みなとみらいや山下公園など、オシャレな港町という印象を持たれるかと思います。そんな横浜市が日本三大都市の一つなのではないか?という声がまことしやかに囁かれているのです。
というわけで、今回は日本三大都市。東京と大阪はわかるが、三つ目は本当に愛知県名古屋市なのか?!様々なデータを用いて検証していきます!
※注意・おことわり
まず本記事を執筆するにあたり、先んじておことわりをしておきます。それは筆者の私が横浜市民だということです。横浜市民ではありますが、今回は公平を喫するために私見は入れつつも、フラットな目線で解説していきます。
名古屋と横浜の比較
ではまず、名古屋市と横浜市の基本的なデータから比較していきましょう。
人口関連
名古屋市: 約233万人(国内第3位)
横浜市: 約377万人(国内第1位)
※いずれの順位も東京特別区含まず
人口レベルでは横浜市が名古屋市を圧倒しています。横浜市の方が名古屋市よりも144万人以上突き放して全国1位の人口規模を誇ります。ですから大阪市よりも人口が多く、基礎自治体では日本一となります。ただし、東京特別区の総人口は973万人で、横浜市と比べものにならないほどの人口規模を持っています。なお人口密度で見ても名古屋市は7,144人/㎢に対して横浜市は8,608人/㎢なので、人口密度でも横浜市の方が名古屋市よりも上となります。
経済規模
名古屋市: 13兆9,363億円(2021年)
横浜市: 14兆6,453億円(2021年)
続いて経済規模で見てみましょう。お互い互角の戦いをしている状況です。上記は名目GDPと呼ばれるもので、1年間に新たに生み出されたモノやサービスの付加価値を市場価格で評価した総額です。
例えば名古屋市には世界のトヨタ自動車に代表される自動車関連メーカーが地域経済の主体となっています。一方で横浜市にも日産自動車がありますが、それ以上に精密機器や電子機器の業界が牽引しています。全体を見れば横浜市の方がGDPは上ですが、1人当たりのGDPは名古屋市が圧倒しています。
大企業の数
愛知県: 221社
神奈川県: 185社
名古屋市と横浜市の大企業の数は公表されていないため集計が難しいのですが、県全体で見ると愛知県の方が多く、上場企業数だけで名古屋市が92社、横浜市が60社で名古屋市の方が多い数字が出ています。
名古屋市は中部電力、日本ガイシ、ジェイテクト、カゴメなどが本社を置いています。一方で横浜市は日産自動車、富士ソフトなどが本社を置いています。
交通インフラ
大都市の交通インフラにおける象徴でもある地下鉄。名古屋市には名古屋市営地下鉄が、横浜市には横浜市営地下鉄が走っています。
名古屋市営地下鉄: 6路線
横浜市営地下鉄: 2路線
名古屋市は広範囲に渡って地下鉄が伸びているのに対し、横浜市は横浜駅、桜木町駅、関内駅など横浜の繁華街を貫くブルーラインとグリーンラインの2路線にとどまっています。一方、それぞれの中心駅である名古屋駅と横浜駅の規模を比較してみると、
名古屋駅: 約129万人
横浜駅: 約230万人
横浜駅の方が名古屋駅を圧倒しています。また乗り入れ路線数で見てみると、
名古屋駅
JR 東海道本線、中央本線、関西本線
JR 東海道新幹線
名古屋臨海高速鉄道
名古屋市営地下鉄 東山線、桜通線
名古屋鉄道 名古屋本線
近畿日本鉄道 名古屋線
横浜駅
JR 東海道本線、横須賀線、京浜東北線、横浜線、湘南新宿ライン
東急電鉄 東横線
横浜高速鉄道 みなとみらい線
京急電鉄 京急本線
相模鉄道 相鉄本線
横浜市営地下鉄 ブルーライン
こちらも乗り入れ路線数でも横浜駅の方が多い数字を出しています。なお東海道新幹線は新横浜駅に到着しますので、新幹線駅に関しては同点ですね。
高層ビル
都会の象徴の一つ、高層ビルの数でも見てみましょう。
100m以上のビル
名古屋市: 36棟
横浜市: 44棟
200m以上のビル
名古屋市: 4棟
横浜市: 1棟
名古屋市には200mを超える超高層ビルがいくつかあります。
・ミッドランドスクエア(高さ247m)
・JRセントラルタワーズ(高さ245.1m)
・JRゲートタワー(高さ220m)
横浜市の場合は200mを超える超高層ビルは横浜ランドマークタワーのみです。ビルの数では横浜市がタワーマンションを中心に数を稼いでいますが、高さは名古屋の方が上です。
商業施設と売上高
都会には百貨店や繁華街と呼ばれるエリアが存在します。
名古屋
ジェイアール名古屋タカシマヤ
名鉄百貨店本店
松坂屋名古屋店
名古屋三越栄店
星ヶ丘三越
名古屋PARCO
横浜
そごう横浜店
横浜高島屋
横浜ポルタ
ルミネ横浜店
相鉄ジョイナス
京急百貨店上大岡店
双方ともに多くの百貨店があります。特にジェイアール名古屋タカシマヤの売上高は1,891億円で国内第3位の規模を誇ります。横浜市にあるそごう横浜店も売上高は1,000億円以上あり、ともに国内最大級の売上高を持っています。
続いて繁華街で見てみましょう。
名古屋市: 名駅周辺、栄駅周辺、大須商店街
横浜市: 横浜駅、関内周辺、桜木町周辺
両方とも全国的に知られた繁華街を持っており、経済力もある場所が軒を連ねます。ただし商業的には横浜市の方が名古屋市よりも上回っています。
名古屋が日本三大都市である理由
上記で名古屋市と横浜市の比較を行ってきました。都市規模に於いてはほとんど差がないということも言えると思います。すなわちどちらも都会ということです。しかし名古屋市が日本三大都市の一つと言えるのにはいくつか理由があります。
拠点性が段違い
名古屋市は中京圏の中心都市であり、政治的・商業的にも最も重要な拠点です。中京圏単体で1,000万人を超える超大な都市圏であり、その中心を担う名古屋市と、東京の経済圏にある横浜市とでは雲泥の差があります。例えば交通インフラのJR東海や電力会社の中部電力などは全て名古屋市に本社を置いています。さらに名古屋市には東海地方を管轄する名古屋高等裁判所があります。高等裁判所は全国で8つしかなく、横浜市には地方裁判所しかありません。
東京と大阪の交通の要衝
名古屋市は東京と大阪という大都市に挟まれた中継地です。特に東海道新幹線はその役割を果たしています。一方で横浜市は東京に近く、中継地としての機能は弱いため、名古屋市の方が重要なのです。さらにもう少し広い視座で見てみると愛知県にはセントレア(中部国際空港)があり、こちらも商業・工業的に重要な拠点になっています。
工業としての発展性
名古屋市にはトヨタ自動車の関連企業が多く、古くから工業都市としての趣きが強い地域でした。こうした自動車産業の成長に伴い、名古屋港は国内トップの輸出入を誇ります。さらに工業出荷額も日本一です。
総括
以上をまとめると都市の規模としては横浜・名古屋ともに良い勝負をしていますが、拠点性に於いては名古屋市の方が上回っていると考えられます。個人的にも名古屋市の方が数段都会だと思えますが、今回調べてみて意外にも横浜市が成長していることも伺えました。さすがは人口全国最多の自治体です。とはいえ横浜市は東京のベッドタウンの立場も多分にあるため単独自治体としての実力については名古屋市の方が上だと考えられます。名古屋からも新横浜からも、のぞみに乗れば1駅の距離です。今後も双方の街が盛り上がれば良いですね!