旅行

【2024年 最新版】北海道・宗谷岬にある日本で最北端の食堂って美味しいの?!

日本国最北端の地として知られる北海道・稚内市の「宗谷岬」。旅人なら一度は目指すであろうあの場所には日本最北端の〇〇が多く存在している。
例えば日本最北端の郵便局「宗谷岬郵便局」、日本最北端の中学校「宗谷中学校」、日本最北端のガソリンスタンド「安田石油店」など。日本最北端の地にも確かに人の息遣いが聞こえる文明がある。

そこにあれば何でも日本最北端の〇〇になる宗谷岬で一際気になったのが日本最北端の食堂。その名も「食堂 最北端」。宗谷岬の石碑が立つ目の前にある食堂だ。ここが文字通り日本最北端のメシ屋ということになる。

人はいつだって腹が減る。それは宗谷岬にいても。そんな宗谷岬を目指す旅人たちを受け入れてくれる「食堂 最北端」とはどんな店で、何を食べるべきなのか?現地を訪れてレビューしてみた。

地元でオススメはラーメンと聞く

まだ寒さが抜け切らない4月の北海道。私たちは厚手のガウンを着込んで稚内の地に降り立った。稚内市は日本最北端の自治体であり、古くから極東との玄関口になった街だ。「意外にも」と言ったら大変失礼な話だが、稚内市は意外にも都会である。人口は3万人ほどで、鉄道駅のみならず東京・羽田空港との往復便を運航する稚内空港もある。

街には本州でも見かけるチェーン店があり、南稚内駅周辺には飲み屋街が軒を連ねる。もちろん北海道だけでしか飲めないサッポロクラシックも味わえる。

私たちは翌日の宗谷岬到達を前に決起集会よろしく南稚内駅近くの居酒屋で酒を交わした。ゴールデンウィークに差し掛かるということもあり、街は人で溢れており、店内も活気がある。サッポロクラシックで何杯目かの乾杯をした後、隣の卓で飲んでいた地元民のオジサンが話しかけてきた。

宗谷岬行くんか?

私たちは頷き、地元民だけが知る情報を得ようと前のめりになった。そこで地元民のオジサンは熱燗片手に「そしたら最北端に行くといい。あそこのほたてラーメンは美味しいよ」と言った。私たちは北海道が全国に誇るセイコーマートで翌朝の食糧を手配しようとしていたから食堂があるとは知らなかった。

急いでGoogleマップを開き、「食堂 最北端」を調べる。『営業時間外・営業開始8:00』私たちは明日の宗谷岬行きを前にオジサンから聞いた食堂を目指すことにした。

地図をなぞる道すがら

日本地図を最初に作り上げたのは伊能忠敬だと言われている。彼は江戸時代に日本全国を測量し続けた。彼の死後、弟子たちが『大日本沿海輿地図』を発表している。その地図にも宗谷岬は克明に描かれており、その技術の高さには目を見張るものがある。

私たちは海岸線を法定速度で宗谷岬に向かっていく。伊能忠敬とその弟子が描いた地図をなぞるように車を走らせること20分。大きな駐車場と先端が尖った宗谷岬のオブジェを見つける。朝7時に着いたが、周囲にはライダーやキャンピングカーで来ている人が大勢いた。

日本最北端の地と書かれた石碑に、高く聳える三角のオブジェ。教科書でしか見たことがなかった建造物にしばらく見惚れていると同行した友人が「そろそろ店前に並んでおこう」と冷静に言ってきた。そうだ。私たちは日本最北端の地をこの目で確かめるとともに日本最北端のメシ屋に足を運ぶんだ。後ろ髪を引かれつつ、食堂へと向かった。

ついに対面する食堂 最北端

8時ちょうどに店先の暖簾が掛かった。私たちは一番乗りで店の中に入る。後ろから続々と客が入ってくる。店の上に書かれた『日本で一番北の食べ処』という文字が何とも力強く見えるのは気のせいではないだろう。

店内は小上がりも含めて15席ほど。そこまで広い感じも受けないが、狭くもない。自由に座席を選んで座る。

メニューは大きく分けて3種類。ラーメン類、ごはん類、飲み物。カツカレーやみそラーメンも気になるが、やはりここは昨日のオジサンが言う通り「ほたてラーメン」をオーダー。お値段は税込1,000円。いつの間にか店内はたくさんの客で埋まっていた。さすがは日本最北端のメシ屋である。

ほたてラーメンはホンモノだった

待つこと10分。店主さんと思しき男性がほたてラーメンを持ってきた。透明に近いスープとネギ、メンマ、ナルト。そして真ん中に鎮座した帆立貝。シンプルな見た目だが、見るだけで美味しいことは確約されている。麺は縮れており、スープとよく絡みそうだ。私は勢い込んでスープを一口啜った。

スープは帆立の味わいというよりはストレートな塩ラーメンを思わせるあっさりとした喉越しで、口の中には仄かに塩味が残る。スープに薄く膜を張る油も相まってスルスルと飲めてしまう。寒空の下、開店まで1時間待った甲斐があるなぁ、と思いながら口に運んだ。

麺は予想通り縮れており、スープとよく絡む。イメージとしてはスーパーで売られている生麺に近い。ほたてラーメンのような塩味のラーメンにはちょうど良い縮れ具合と食べ応えだ。麺量は200g程度だろうか。そこまで多いとは感じなかった。これが二郎系だったら間違いなくその後の旅程に狂いが生じるだろうが、これは塩ラーメンなのだ。優しい味わいが骨身に染みていく。

お待ちかねの帆立貝。赤い部分はクチコと呼ばれる卵巣で、本体の貝柱を飲み込まんばかりにくっ付いている。この帆立貝も都内のスーパーではなかなかお目にかかれない大きさをしているが、iPhoneのカメラではその迫力を伝えきれないのが残念だ。一口食べるとジワッと帆立の旨みが広がる。サクッともホロッともつかない独特の食感を伴って胃の中へ消えていくのが心地よい。帆立貝を食べながらスープで流し込むと魚貝の持つポテンシャルがより一層引き立つ感じがする。

日本最北端のメシ屋は温かさを感じる

束の間の宗谷岬での冒険を終え、稚内市内に戻ると辺りはすでに暗くなっていた。前日と同じく南稚内駅近くのホテルに泊まり、セイコーマートで食料を調達する。部屋に戻ると写真フォルダからこの記事にするための写真選別を行う。今回、日本最北端のメシ屋を訪れたが、結論的に言えば行くべき名店であると感じた。

正直、あのほたてラーメンもとい塩ラーメンは頑張れば家でも作れるレベルだ。美味しいのは間違いないが、あのラーメンを食べるためだけに宗谷岬に行くことはないだろう。だが、大事なのはあの店が『日本で一番北の食べ処』だと言うことである。

行った者にしかわからない。

あの場所は本当に日本で最も北にある街なのだ。それは他の街では決して味わうことができない特別な体験。私たちはあの最果ての地であのレベルのラーメンを堪能することができる。そのありがたみは相当なものだ。きっと伊能忠敬も測量の途中にこの店でほたてラーメンを食べたら感動を覚えただろう。

それだけのパワーと愛情を感じる一杯だった。

人々が北海道に魅せられる理由

私は生まれてから四半世紀以上を生きてきたが、ついぞチャンスに恵まれず北海道に行く機会は大人になるまで無かった。大人になった今、多くの人々が北海道に魅せられる理由を考えた。

私の中で北海道は異世界に近いものだと思っている。今回ご紹介したほたてラーメンを出す日本最北端の食堂や以前ご紹介した苫小牧市のマルトマ食堂のホッキカレーなど。本州にいたら食べることがないものを味わえる。そしてそれがもれなく美味しい。東京で大阪で疲弊し切った労働者を優しく迎え入れてくれるのが北海道なのだ。だから私は北海道に魅せられる。

マルトマ食堂の記事はこちら

異世界という意味で言うともう一つある。この章の冒頭差し込んだ一枚の道路看板。稚内駅やノシャップ岬などを示す単なる看板だが、そこにロシア語が書かれている。こんな看板は間違いなく本州では見かけない。ここが極東への入り口であることを検めるかのようだ。

私たちは日頃テレビやネットの中でしか情報を取り込めない。それは当然である。毎日生きている中で稚内や宗谷岬のことを考えるほどの余裕がない。とは言え、人生に悩んだらここへ来ると良い。
間違いなく、北海道が大きな大地を以てあなたを迎え入れてくれるだろう。

食堂 最北端の情報

最後に今回ご紹介した北海道稚内市宗谷岬の「食堂 最北端」の詳細を記載して本記事を終わりたいと思う。

・住所:北海道稚内市宗谷岬2-10
・営業時間:8時〜17時
・定休日:不定休
・決済:現金のみ(クレカ等使用不可)
・食べログ:こちら

ぜひ宗谷岬に来た際は行ってみてほしい。まだ宗谷岬がどんなところか分からないと言う方はこちらの記事も参照してみてね!

宗谷岬についての詳細はこちら

  • この記事を書いた人

Shumoty

あなたの知らないニッポンの地域にまつわるハナシを紹介していくポータルサイトです。これさえ見れば明日友だちに話したくなる情報や、思わず旅に出たくなることまで手に入れられるかも?!「旅行」、「移住」、「バイク」、「グルメ」。さあ、あなたの知らないニッポンの魅力再発見の旅に出よう。

-旅行